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Saturday, December 30, 2023

広がる紙おむつリサイクル 段ボールなどに、コストが壁―自治体・事業者が取り組み - 時事通信ニュース

2023年12月31日15時32分

おむつから取り出された紙パルプ=20日午後、千葉県松戸市

おむつから取り出された紙パルプ=20日午後、千葉県松戸市

  • 「サムズ」で使用されている紙おむつの分離機=20日午後、千葉県松戸市

 高齢化の進展で、使用済み紙おむつの排出量が増えている。一般ごみの量自体はリサイクル意識の向上で減っているが、紙おむつは2020年度で家庭や高齢者施設などから約220万トンが出され、15年度の約200万トンから増加。占める割合も約4.5%から約5.3%に増えた。自治体や民間の間ではごみ減量に向け、紙おむつの再生利用の動きが広がるが、コストの高さが課題だ。

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 環境省によると、全国で紙おむつの再生利用の検討・取り組みを行っている市区町村は約40。同省は30年度までに100に拡大する目標を立てている。
 リサイクル業者のサムズ(千葉県松戸市)では、汚物を取り除いた後の紙おむつを市内外5カ所の福祉施設や病院から回収し、再生利用を進めている。分離機に投入して高分子吸収材の除去や殺菌、漂白を行い、紙パルプとプラスチックなどに分解。紙パルプは段ボールに、プラスチックは固形燃料として生まれ変わる。
 同社の鴨沢卓郎社長は「水分を多く含む紙おむつは焼却炉を傷める。リサイクルによってそれを避けることができるため、この技術をもっと知ってほしい」と話す。
 鹿児島県志布志市も再生利用に積極的だ。16年度にユニ・チャームと協定を結び、紙おむつから取り出された紙パルプなどを新たな同じ製品の原材料にする「水平リサイクル」の実証に取り組む。同社はこの技術を他自治体にも広げられないか検討している。
 一方、東京都八王子市はコストの壁にぶつかっている。同市では、事業者や市民がごみを焼却炉に持ち込む場合、処理費として1キロ当たり35円を徴収している。これに対し、紙おむつリサイクルには同40~90円かかると試算。再生利用は赤字になり、焼却した方が安く上がる。ごみ減量対策課の岡田栄一課長は「国や都が財政面で支援してほしい」と訴える。
 現在、環境省は紙おむつの再生利用に特化した補助を設けていないが、25年度にも予算を拡充し、自治体の紙おむつ回収ボックス導入への補助金など、取り組みの加速を検討している。

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