2023年11月09日17時44分
【ヤンゴンAFP=時事】ミャンマー・ヤンゴン市内。労働者階級が多く住むシュエピーター地区では、プラスチックごみが1メートルの高さまで積み上げられている。最近行われた調査によれば、欧米諸国のごみが大量に捨てられている。(写真はミャンマー・ヤンゴンのシュエピーター地区に廃棄されているプラスチックごみ)
プラスチックごみは数年前から田畑を埋め尽くし、雨期になると排水路をふさぎ、火災を招くリスクもある。2000年に比べるとごみの量は倍増しており、現在では年間4億6000万トンに達している。
「以前は雨期になると、畑でクレソンを摘んで食べていた」「今はプラスチックごみのせいでクレソンは食べられず、悪臭がしている」と、住民の一人はAFPに話した。
先日公表された、調査報道団体「ライトハウス・リポーツ」と6団体による調査結果によると、投棄されているものには欧米からのごみも含まれる。
ごみからは、ダノンのヨーグルトや、ポーランドのスポムレックのチーズの容器や包装紙、英国にあるドイツのスーパーマーケット、リドルの商品や、カナダのウニコのパスタの袋も見つかっている。
中国が2018年に他国のプラスチックごみの受け入れを停止した後、ミャンマーも続いた。
こうしたごみは、清潔でリサイクル可能なプラスチックの資源ごみ以外の輸入を禁じる法律があるにもかかわらず、なぜかミャンマーに流れ着いた。
ライトハウス・リポーツに対し、地元のリサイクル工場数社は、処理できない廃棄物は投棄されるか焼却されることも多いと認めた。
AFPは、ミャンマーのごみの中から製品が発見された企業数社に取材した。
リドルの広報は、「当社のプラスチックごみはすべて英国内で処理されており、廃棄物や再生可能なものをアジアのいかなる国にも送らないという厳格なポリシーを定めている」と回答した。「当然ながら今回の件には失望しており、調査を実施する」としている。
■穴だらけのタイ国境
廃棄物がどのようなルートでミャンマーに流入するのか、またその量については分かっていない。
国連の貿易統計データベースによると、ミャンマーのプラスチックごみの大半はタイから流入しており、最新の統計である2021年の数値によるとその量は7500トン近くに上っている。
しかし、約2400キロに及ぶ両国の国境は穴だらけで、密輸業者の出入りも容易だ。ライトハウス・リポーツによれば、両国とも国境では廃棄物の検査をほとんど行っていない。
国際刑事警察機構(インターポール)の汚染犯罪作業部会の元副議長、ウィリー・ウィルソン氏は国連の物を含めすべての貿易データについて、「古いデータも多く、確認も一切行われていない」と指摘する。
「私たちは、誤った申告や欠落したデータという混沌(こんとん)の中にいる。データが分かりやすい隠れみのとして利用されている」
ミャンマーの軍事政権は7月、タイからの廃棄物の輸入額と、タイ政府が公表しているミャンマーへの輸出額に16億3900万ドル(約2500億円)の差があると明らかにした。
これについて、違法貿易撲滅運営委員会は「違法取引が原因の可能性がある」としている。
シュエピーターの住民はAFPに、地元に投棄されたごみの大半は近隣の工業地帯にあるリサイクル工場の廃棄物だと語った。
しかし、2021年のクーデター以来、軍が実権を握るこの国で、不法投棄に抗議するリスクは高く、サッカー場の予定地がプラスチックごみだらけになっているという。
住民の一人は、「嫌でたまらない」が「自分たちにはなすすべがない」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕
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