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Friday, July 22, 2022

漂着ごみ使い四季色の箸 若狭高生とメーカー連携、商品化 - 中日新聞

「身近な箸で海洋プラスチックごみの問題に関心を持ってもらいたい」と呼び掛ける生徒たち=小浜市の若狭高で

「身近な箸で海洋プラスチックごみの問題に関心を持ってもらいたい」と呼び掛ける生徒たち=小浜市の若狭高で

 若狭高校海洋科学科の生徒が地元の箸メーカーと連携し、海洋プラスチックごみを材料に使った箸「ocean(オーシャン)」を商品化した。小浜市内の海岸で拾い集めたプラスチックごみを粉砕し、伝統工芸「若狭塗」の技法で持ち手部分の模様付けに活用。約二年かけて春夏秋冬の小浜の海を表現した四色を完成させた。「毎日手に取る箸で海ごみ問題を身近に感じてもらい、ポイ捨てが減り、ごみを拾う人が増えてほしい」と願う。

 「学校帰りなどに立ち寄る海で、ごみが目立つと感じていた。プラスチックでいっぱいの浜をきれいにしたいと思った」。商品化に取り組んだのは三年生の時田優空さんと松岡瑠里香さん。二年生時の探究活動で、地域課題でもあり世界的な問題の海洋プラスチックをテーマに選び、一学年上の先輩が試作品までたどり着いた箸作りの先行研究を引き継ぐことにした。

 着想を得たのが特産の塗り箸にも用いられる若狭塗。貝殻などを材料にし、豊かな海を象徴する伝統的な技法で作られる。材料にプラスチックごみを使い、伝統技法を取り入れることで美しかった海が汚れてしまった今昔の対比を効果的に伝えられると考えた。

 製造ではまず、ペットボトルのふたや漁業用のかご、洗剤の容器など海岸に漂着したプラスチックごみを生徒が拾い集め、殺菌洗浄してから家庭用のミキサーなどで粉砕する。ここからは職人の仕事になり、一ミリサイズまで砕かれたプラスチックを色塗りされた木製の箸の持ち手部分にふりかけ、透明の樹脂でコーティング。丁寧に研ぎ出して仕上げていく。

 口に入れるものだからデザインはきれいに。二人は「売れる商品」や大量生産を意識して、箸の色合いやプラスチックの色、砕く大きさなど試行錯誤を繰り返した。箸に物語性を持たせるため、四季折々に変化する小浜の海や景色をテーマにベース色を決定。春は桜や小浜の空気をイメージしたピンク、夏は海面に映る夕日のオレンジ、秋は紅葉の黄緑、冬は雪や海の深さを想起させる青を選んだ。

 紙製パッケージは波間から箸が見えるような凝ったデザイン。海ごみ問題の現状や商品の説明を英語と日本語で表記した。箸に込めた思いが伝わるよう、何度も文章を練り直した。

 オーシャンの販売やPRを引き継ぐのは二年生の小堂莉奈さんと藤原空来さん。探究活動としてSNS(交流サイト)などによる情報発信や市内での販売会を予定しており、「収益を環境問題の解決に活用できるよう考えていきたい」と意欲を見せている。

 販売は二十七日から、「箸蔵まつかん」のオンラインショップで。価格は一膳税込み千七百六十円。

 (鈴村隆一)

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