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Monday, November 29, 2021

国後は「ごみと戦車と大砲の島」と憤るロシア人…仏国籍の映画監督が描く北方領土 - 読売新聞

 北方領土・国後島の現状を描いたフランスのドキュメンタリー映画「KOUNACHIR クナシリ」の全国上映が12月4日から始まる。使われなくなった兵器やごみが放置され、整わない生活基盤を嘆くロシア人島民の声を拾うなど、これまでにない視点で北方領土を描いている。

 監督は旧ソ連時代のベラルーシ出身で、フランス国籍のウラジーミル・コズロフさん(65)。

 2018年5~6月に国後島で撮影した。上映時間は74分。環境破壊など島の現況に批判的なロシア人島民を中心に展開する。

 行政側の人物が「国後島はロシアの領土だ」と語る一方で、1946年頃に島に移住し、日本人島民と交流したロシア人男性は日本人の強制送還、日本人墓地や神社などの破壊が行われた当時の様子をつまびらかにする。兵器が放置される状況に、「ごみと戦車と大砲の島だ」と厳しく非難する男性や、下水処理が未整備なありさまを嘆く女性も登場する。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開中の予告編(英語版)では、根室市の花咲港でウニを水揚げしているロシア人漁業者が「日本人は隣人。不法に占拠した島は日本に返すべきだ」とも語っている。

 映画は2020年11月、フランスのクレルモン・フェラン市で開催されたドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞した。

 ロシア国営のプロパガンダ的な映像が多い中、北方4島の現状について批判的なロシア人の声を交えた映画は珍しい。コズロフさんは「映画で、現代ロシアという文脈の中で北方領土の問題を調査し、理解しようと試みた。この問題を口に出すことは不都合な事実。フィクションの部分は全くなく、全てが時の記憶であり、実在の人物の考えと感情だ」と語っている。

 コズロフさんは現在、根室市民とも連絡を取り、同市を舞台にした続編映画「NEMURO」の撮影準備を進めている。入国が許可され次第、現地入りして撮影を進める予定という。

 映画は12月4日から、北見市のイオンシネマ北見、釧路町のイオンシネマ釧路、東京都渋谷区の「シアター・イメージフォーラム」で、同10日からは札幌市中央区の「サツゲキ」で上映される。予告編はユーチューブなどで見ることができる。

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