
海洋プラスチックごみの削減を目指して、廃棄される漁網を再利用したかばんが、兵庫県豊岡市の地域ブランド「豊岡鞄(かばん)」に登場した。北海道で回収されたプラ製の漁網を粒状の原料にし、それを糸に加工して織られた生地を、豊岡のかばんメーカーが商品に作り上げた全国規模の連携事業。海をイメージしたカラーにして、ビジネスやショルダー、ボストンバッグなど多彩に展開される。今後は地元の海で漁網を回収するなど地域で循環の仕組みをつくれないか検討するという。(石川 翠)
同ブランドを展開する兵庫県鞄工業組合(事務局・豊岡市)が、2年ほど前から、SDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みを検討していたところ、一般社団法人「アライアンス・フォー・ザ・ブルー」が漁網を再生した生地づくりに取り組んでいることを知り、活動に参加した。
同法人は日本財団が海洋ごみ削減と資源循環を目的に新設。企業で構成する組織で、技術的に再利用が困難な使用済み漁網の資源化に取り組んできた。
まず北海道で回収した漁網を分別し、それをさまざまな素材の再生を手掛ける企業が裁断、加熱して再生ペレットを製造する。さらに別の織物会社が紡糸や織布を担って25%程度の比率で配合し、生地としてよみがえらせた。
日本財団によると、海洋プラスチックごみは1年間に世界で約800万トン、国内からは2万~6万トンが発生していると推計され、日本の海に漂着する海洋ごみは漁網やロープが2~3割を占めているという。
豊岡では豊岡鞄ブランドに携わっている企業10社が商品化に参加。生地は「ディープブルー」と「オーシャンブルー」の2色で、大型のボストンバッグ(5万5800円)やトートバッグ(3万7400円)、ショルダーバッグ(2万900円)など多様なかばんを展開する。同組合は「再利用の工程で生地の価格は6倍ほどになっているが、最短ルートで販売することで価格を通常の商品と同程度に抑えている」とする。
スクールバッグも開発しており、「子どもの頃から再利用のものに触れることでSDGsの意識を高めていけるのでは」と取引先の開拓も進める。
今後は地元の漁協から漁網を回収することも検討している。
同組合は他に、ワインの製造で発生するブドウの搾りかすで染色した革や、新しく開発された軽くて耐久性の高い合成皮革の新素材を使った商品も手掛ける。
同組合の由利昇三郎理事長は「厳しい状態が続くかばん業界としても切り口を変えることで新しいマーケットの開拓にもつながる」と期待した。
からの記事と詳細 ( 北海道の海洋ごみ、豊岡で地域ブランド鞄に 海をイメージしたカラーで展開 - 神戸新聞 )
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