投資会社サーキュレート・キャピタルは、有名企業も資金を一部拠出する小規模投資ファンドが、世界で最大の環境汚染問題の一つ――プラスチックごみ――を解決する助けになると見込んでいる。
2017年にサーキュレートを創設したロブ・カプラン氏は「プラスチックごみは、経済の回復や気候、自然を脅かす世界的な危機というだけではない。災いを経済発展の原動力へと転じさせることのできる投資機会でもある」と語った。同社は設立当初、インドや東南アジアで、リサイクル企業や廃棄物選別企業など、増加する海洋プラスチックごみの削減を促進する企業の支援を模索した。
2019年には、デットファイナンスおよびプロジェクトファイナンスに関わる1億0600万ドル(約117億3000万円)規模の「サーキュレート・キャピタル・オーシャン・ファンド」を設立。コカ・コーラやダノン、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ユニリーバなど多国籍企業の支援を受けた。現在、投資家基盤と投資対象の拡大へ向け、5000万ドルの調達を目指している。
いわゆる「循環型経済」に寄与する企業に対して投資する企業は少数ながらも増加しており、サーキュレートもその一つだ。循環型経済とは、組織が出す廃棄物をなくし、製品や素材を継続的に再利用し、自然システムを再生することを目指すビジネスモデルである。非営利団体エレン・マッカーサー財団が昨年発表したリポートによると、循環型経済に焦点を当てたプライベートエクイティ(PE)投資会社やベンチャー、債券戦略ファンドなどの私募ファンドの数は、2016年のわずか3本から、2020年上半期には推定約30本に増加した。
多くの多国籍企業が、自社が排出する廃棄物の総量およびバージン原料使用量の削減を幅広く推進する中で、循環型経済に寄与する企業の取り組みに資金を提供している。
ユニリーバの研究開発責任者であるリチャード・スレイター氏は「これらの取り組みで実際に明白なことは、一つの企業単独でできることではないということだ」と指摘し、「システムを変更する必要がある」と述べた。
ユニリーバは、サーキュレートやニューヨークを拠点とする投資会社クローズド・ループ・パートナーズが運営するファンドを支援しており、2025年までにバージンプラスチックの使用量を半減することを目指している。同じくサーキュレートのオーシャン・ファンドを支援するコカ・コーラは、2025年までに全世界ですべての包装をリサイクル可能にし、2030年までに50%以上をリサイクル素材にすることなどを目標としている。
コカ・コーラの広報コミュニケーションおよびサステナビリティ機能担当グローバルバイスプレジデント、マット・エコールズ氏は、循環型経済に取り組む企業を支援することは、サステナビリティ目標を達成することと同様に、リターンを求めることでもあるとの考えを示した。
同氏は「これは投資であって贈与ではない」とした上で、「われわれが今後やっていくのは、これらの(ポートフォリオ)企業の中から、リサイクル素材の潜在的サプライヤーを見いだすことだ」と述べた。
サーキュレートはこれまでに、オーシャン・ファンドを通じて、インドの廃棄物回収企業ネプラ・ウェイスト・マネジメントや、インドネシアのペットボトルリサイクル企業トリディ・オアシスなど、少なくとも7社を支援している。
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