クマによる人身被害などを減らそうと、環境省はクマとの遭遇を回避する方策などをまとめたマニュアルの改定版を公表した。2007年の初版以来14年ぶりの改定で、クマの餌となり得る生ごみや果樹の管理の仕方など、人の生活圏にクマがやってこないようにするための方法を具体的に示している。 改定版では、人とクマのあつれきを減らしながら各地域でクマの生息数を維持するためには「人とクマのすみ分けが鍵」と明記。市街地や集落などでの対策として、生ごみは屋内で保管して収集日当日に出し、収集場所にはクマが開けることができない構造のごみ箱を設置することなどを提案する。他に、不要な果樹や公園の樹木を伐採する▽田畑や果樹園、畜舎、養魚場は電気柵で囲う――などを挙げる。 クマの出没要因には、餌となるドングリの不作もある。改定版では、自治体に対し、ドングリの豊凶を調査し、クマの大量出没が予測される年には警報を発することを求めている。また、出没に備えて、自治体としての方針や職員の役割分担を明確にしておくことも要請した。 小泉進次郎環境相は18日、閣議後の記者会見で、「(マニュアルでは)クマに遭遇した際に取るべき行動なども列挙している。ぜひ参考にしていただきたい」と呼びかけた。 環境省の18年度の調査によると、クマ(北海道はヒグマ、他地域はツキノワグマ)の分布域は、03年度調査と比較して、四国を除いた全ての地域で拡大。ツキノワグマの全国の出没件数は09年度以降増加傾向にある。中山間地の過疎化でクマの警戒心が低下したり、耕作放棄地の増加で隠れる場所が増えたりしていることなどが背景にあるという。 マニュアル改定版は環境省のウェブサイト(http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/)からダウンロードできる。【信田真由美】
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