国内有数の「ゲイタウン」として知られる東京・新宿2丁目のごみ集積所に、青やピンクのカラフルな収集袋が並び始めた。仕掛けたのは、2丁目を中心に不動産業を営む
◆地元男性が危機感から発案
きっかけは5年ほど前。地域の祭りで、まだ幼かった子どもとアイスを食べていた時、後ろにごみの山が見え、ハッとした。
新宿2丁目には、約400軒といわれるゲイバーや飲食店が並び、区のごみ収集が行われない日曜は、近隣の店から出たごみ袋が道端に積まれた。不法投棄や外部からの持ち込みごみも少なくなく、「ごみがある光景に慣れてしまっていた。そんな状況を子どもに自慢できるのか、と思いました」。
二村さんは、約250軒の賃貸と管理を行う「フタミ商事」の3代目。「生まれ育った街をきれいにしたい」と3年ほど前、まずは区の新宿東清掃センターの担当者と協力して、街を4つのエリアに区切り、それぞれの店がどこにごみを出せばいいかを周知した。1カ所に集まらないように、集積所を増やす調整もした。
◆知らない人にルール説明
新宿区の場合、事業ごみは有料回収で、袋の大きさに合わせた事業系有料ごみ処理券のシールを購入し、袋に貼って出す。
しかし、シールがない袋も散見され、二村さんらはごみ出しルールを知らせるため、貼り紙をしたり手紙を配り、センター職員は飲食店などを訪問して説明を繰り返した。「分別ルールや事業ごみが有料だと知らない人もいたんです」と二村さんが振り返る。
昨年10月、事業ごみ収集をしている民間の「白井エコセンター」(足立区)に毎日のごみ回収を依頼。飲食店など事業者はセンターと個別に契約し、指定のごみ袋を購入すれば、その袋でごみを出すことでシールを貼らずに済む。金額も有料ごみ処理券の購入額と同程度。最初は約50軒だった契約事業者は現在、約300軒に増えた。
家庭ごみと区別しやすく、見た目も明るくしようと、民間委託のごみ回収については、2丁目オリジナルデザインのごみ袋も作った。可燃はピンク、不燃は青色で、性の多様性の象徴、レインボー(虹)のイラストをあしらった。
◆クリーン世界一を目指して
二村さんは、毎朝7時半から2丁目のごみ集積所を回る。「最近は放置されるごみが減り、ルール違反もほとんどなくなった」と実感する。「コロナ禍で大変な状況のお店の人たちも動いてくれた。この街を良くしたいという思いが強いんです」
地域と行政と民間業者が手を取り、成果が見えてきた。「ごみ問題を解決した、世界一クリーンな街を目指したい」と語った。
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