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Wednesday, January 6, 2021

日本の技術で減らそう宇宙ゴミ。木造人工衛星で宇宙開発をサステナブルに - ギズモード・ジャパン

木箱のような人工天体。

住友林業と京都大学が共同で『宇宙木材プロジェクト(通称LignoStella)』をスタートし、2023年に世界初の木造人工衛星(LignoSat)の打ち上げを目指しているそうです。

なぜ木造?

地球のまわりには数多くの人工衛星が飛び交っています。GPS、天気予報やインターネットに欠かせない反面、大量の宇宙ゴミをつくり出す原因にも…。

運用終了後の人工衛星が地球の大気圏に再突入する際、完全に燃え尽きないのが問題だそう。元宇宙飛行士で2016年に京都大学宇宙総合学研究ユニット特定教授に就任した土井隆雄氏はBBCのインタビューで以下のように説明しています。

大気圏に再突入した人工衛星はすべて燃焼時にアルミナ粒子と呼ばれる微小物質を発生させます。アルミナ粒子はそのまま上層大気に何年も留まり、大気環境の汚染源となりうるので大変懸念されています

その点、木造人工衛星なら完全に燃え尽きますし、アルミナ粒子も発生しません。ですから、木材を活用すればよりクリーンで環境に優しい人工衛星の開発につながると期待されているわけです。

デザイン的なメリットも

木造人工衛星にはもうひとつの利点も。木材は電磁波・地磁気を透過するので、人工衛星を木造にすればアンテナや姿勢制御装置を衛星内部に設置でき、衛星構造を簡素化できるとのこと。デザイン次第では、木箱のようにコンパクトな人工衛星を作ることも可能かもしれません。

ただし、宇宙空間を時速2万8,400kmで移動する人工衛星にとってタフさは必須。太陽光・急激な温度変化・宇宙塵との摩擦にも耐えられる強靭な木材って一体どんなものなのか、すごく気になりますよね。LignoSatのイメージ画像を見るかぎりではふつうの桐の箱っぽいですが、日本の森林の奥深くにはもっと密度も強度も高いスーパー木材が隠されているのかも!

木材の詳細について、住友林業はBBCのインタビューにも「企業秘密」だとして多くを語っていませんが、まずはエンジニアリングモデルに着手し、その後フライトテストを行なう予定です。現段階では木造人工衛星の概念実証化を目指し、その開発・運用を通して宇宙空間での木材利用を検証すると説明しています。

悩ましい宇宙ゴミ問題

世界経済フォーラムによれば、現在地球の軌道上を周回している人工衛星の数はざっと6,000機。そのうちの6割はすでに機能停止しているそうです。さらにNASAによれば、地球を周回している宇宙ゴミ(スペースデブリ)の数は、ソフトボールより大きいもので2万個、ビー玉より大きいもので500万個も確認されているのだとか…!

これらの宇宙ゴミはただふわふわ漂っているわけじゃありません。地球の重力と遠心力とがちょうど釣り合う第一宇宙速度、すなわち時速2万8,400kmというものすごい速さで移動しています。これらが国際宇宙ステーションや宇宙船にもたらす脅威は相当のものだとNASAは警告しており、実際アメリカやロシアの宇宙飛行士たちは宇宙ゴミとの衝突を回避する訓練も受けています。はがれ落ちた塗料がスペースシャトルの窓に当たってダメージを与えたケースもあり、どんなに小さな宇宙ゴミですら油断できません。

今後10年にわたり、さらに990機の新しい人工衛星のローンチが予定されています。SpaceXのStarlink計画、そしてAmazonのProject Kuiperが格安インターネットサービスを展開するために先を争って衛星コンステレーションを開発している一方で、これらの人工衛星が天体観測に及ぼす悪影響を危惧する科学者たちも。

木造人工衛星・LignoSatが実用化に至ったとして、宇宙ゴミ問題をどの程度軽減できるのかはまだわかりません。でも、これ以上金属製のゴミを宇宙空間に打ち上げるよりはよっぽどマシですね。

Reference: 住友林業ニュースリリース, BBC News, World Economic Forum (1, 2), NASA

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