* * * 「牛肉が家庭の料理でも使われるようになったのは、ここ20年ほど。外国から安い肉が入ってくるようになってからです。歴史が浅いため、牛肉を使った献立は少ない。せいぜいカレーと肉じゃがくらいですよね」 そう語るのは、日本を代表するフレンチレストランのひとつ「カーエム」の宮代潔シェフ。 日本人が牛肉を食べるようになったのは、あまり古いことではない。7世紀後半に天武天皇が殺生を禁じて以来、肉食は禁忌とされてきた。 それが大きく変わったのは明治5(1872)年。明治天皇が宮中で肉料理を食べたことが報じられたからだ。 とはいえ豚肉との価格差が大きかったこともあり、牛肉はハレの日の、ステーキやすき焼きといったご馳走(ちそう)のイメージをまとう。 コロナ禍で外食を控える今、自宅でも牛肉を使った料理を楽しみたい。 「日本でフランス料理というと、一流店の気取ったメニューのイメージが強いでしょう。でもフランス人は、そんな料理をいつも食べているわけではありません。向こうの家庭料理を献立に加えればいいんです」(宮代さん。以下同) シェフお勧めの家庭料理は、牛肉と赤パプリカの軽い煮込み。実にカンタン。誰でも短時間で作れる。 重要なのは肉の部位。内ももかランプ肉を使用すること。 煮込むといえば、高級レストランでもよく見かけるのが「牛ほほ肉の煮込み」。煮溶けることのないように8等分くらいに切ったタマネギ、ニンジン、セロリとともに、赤ワインで煮るもので、家庭でも作れる。ただし煮込み時間は3~4時間かかる。
「ほほ肉には細かい筋が多く、じっくりと煮込むとそれがゼラチン質に変わるんです。それで軟らかくしっとりとした感じの肉になります。彼らは何百年もかけて、牛肉の各部位の良さを引き出すための料理法を確立してきたわけです」 フランス人がステーキを食べるときのひと工夫も教えてもらった。 「エシャロットを使うんです。フランス料理の生命線といってもいい食材。これを加えることで酸味が増し、肉をあっさりとおいしく食べられます」 エシャロットというと、居酒屋で味噌と一緒に供される若ラッキョウを連想するだろうが、ここでいうエシャロットは異なり、タマネギのような見た目。若ラッキョウと区別するため、日本ではベルギーエシャロットと呼ばれている。 牛肉を焼いた後の肉汁にみじん切りのエシャロットを入れ、白ワインを加えて煮詰める。それをステーキにのせれば、フランス料理に早変わりだ。 先述の牛肉と赤パプリカの軽い煮込みもそうだが、重要なのは肉の焼き汁を利用すること。 「フランス人は肉を焼いた後、フライパンを洗うことはありません。うまみのもとだから。水を加えただけでソースになります。ワインを加えたらもっと高級なソースに。コクを出したいならバターも入れましょう」 肉汁を利用し、エシャロットや香草で味と香りを調えれば、これ即ち、おフランスである。 家庭で牛肉を食べたいなら、逸品を取り寄せるのもオススメ。巣ごもりは美味(うま)し肉で乗り切りたい。(本誌・菊地武顕) ※週刊朝日 2021年1月29日号
からの記事と詳細 ( 自宅でも簡単に! 有名フランス料理シェフの「おいしい牛肉」レシピ〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/2Nneqwq
No comments:
Post a Comment