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Saturday, December 19, 2020

雪おろしのタイミングがわかる防災科研の「雪おろシグナル」は、高齢の親に「無理しないで」と伝えられる(あんどうりす) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

防災科研の雪おろシグナル

 毎年、雪氷災害で100名前後の犠牲者がでています。そのうち雪おろし中等除雪作業中の事故が多く、平成30年消防白書 によると犠牲者の7割が65歳以上の高齢者であることが指摘されています。

過去10年間(平成20年12月~平成30年3月)、雪害による犠牲者は831人に上っている。特に、近年の要因をみると屋根の雪下ろし等除雪作業中の死者が多く、また、犠牲者の約7割が65歳以上の高齢者である。

平成29年11月から平成30年3月の雪害による死者116人のうち、約9割に当たる102人が屋根の雪下ろし等の除雪作業中の事故によるものである。

雪おろしイメージ画像
雪おろしイメージ画像写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 今年はコロナ禍で帰省を控える方も多い中、高齢のご両親に「その雪おろし、帰省まで待っていて」と言えない状況にある方もいるのではないでしょうか?

 そんな中、今、雪おろしが必要な状況にあるのかどうか、判断しやすくなるサイトがあります。

 その名も「雪おろシグナル」。防災なのに、ネーミングが堅苦しくなくて親しみ感があります。防災科学技術研究所(以下 防災科研)が2018年に新潟県を皮切りにリリースしているツールです。

雪崩を応用して雪の密度も計算

 「雪おろシグナル」と優しい響きになっていますが、性能は画期的なものです。雪おろしを安全に実施するためには、安全対策だけではなく、適切なタイミングでいつ雪おろしをすればいいのかという情報も重要です。雪は、しまってくると密度が増して重くなるので、雪の深さの情報だけでは、適切なタイミングがわかりません。大気と雪表面間の水、熱の交換から積雪内部における雪の性質まで計算する雪崩の発生モデルを応用して、積雪の重さを視覚的にわかりやすくしたもの、それが、「雪おろシグナル」です。

防災科研では、仕組みを以下のように記載しています。

 雪おろシグナルはweb上で公開されている積雪深の情報を収集するために新潟大学が開発した「準リアルタイム積雪分布監視システム」と、積雪深の情報を重さに変換する積雪変質モデル「SNOWPACK」の2つのシステムから構成されています。SNOWPACKは雪が積もり始めてから現在までの気象データを入力して、大気と雪表面間の水や熱の交換や、積雪内部における雪の性質の変化を計算し、雪質、温度、密度、粒径、含水率等、積雪の細かい層構造の情報を出力します。積雪の物理過程を細かく計算するモデルで、主に雪崩の発生予測等に使われていますが、積雪重量の見積もりにも応用でき、積雪深の観測された場所では10%前後の誤差で推定することができます。このようにして各積雪深観測点で計算された積雪重量を地理院地図上に重ね、観測地点間を内挿して積雪重量分布の情報を作成します。この積雪重量分布情報の愛称を「雪おろシグナル」と名付けました。

 雪おろシグナル使い方

新潟県HP 「雪おろシグナルをご利用ください」より引用
新潟県HP 「雪おろシグナルをご利用ください」より引用

 使い方も簡単です。雪おろシグナルで着色されている色から、積算重量を判断します。

防災科研 雪おろシグナルより引用
防災科研 雪おろシグナルより引用

 赤くなると、建物倒壊がみられる積雪重量になります。

防災科研 雪おろシグナルより引用
防災科研 雪おろシグナルより引用

また、水色でかこまれたスライダーを動かすと過去に遡ることが可能です。

雪おろしを実施したらそれまでの雪の重さを減らして現在の積雪荷重を計算

防災科研 雪おろシグナルより引用 
防災科研 雪おろシグナルより引用 

 さらに、雪おろしを実施した分、雪は減っているはずなので、実施日を入力すれば、現在の積雪荷重が計算できるページもあります。

残念ながら使えるのは、新潟、山形、富山、秋田

 このサイトは、すぐ使ってみたいと思っていただけそうですが、ひとつ残念なお知らせがあります。それは、まだ実施されているのが、新潟県、山形県、富山県、秋田県に限られているのです。今後、広がっていけばと思うツールです。

 対象区域にご縁のある方は、積極的に活用していただければと思います。特に高齢者でこのようなツールを使うのが難しい方のご家族がいらっしゃったら、代わりにこのサイトで調べていただければと思います。今、雪おろししなくても大丈夫なのかどうか、伝えるツールとしても役立つのではないでしょうか。

自治体の優先順位判断にも役立つ

 また、過疎高齢化が進行する中山間地域では、今後ますます人手不足により雪おろしが困難になることが予想されます。個人利用だけでなく、自治体として優先的にどこに対応すればよいのかわかるシステムでもあるので、今後も活用が期待されます。

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