菅義偉首相は1日、政府から独立して政策提言をする「日本学術会議」の新会員について、会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命した。「学者の国会」ともよばれる同会議が推薦した候補者を首相が任命しなかったのは、2004年度の法改正で会議が推薦する方式になって以降初めて。 任命されなかった一人、東京大学の加藤陽子教授(日本近代史)は「共謀罪」法案などに反対の立場を取ったことがある。 加藤教授は「学術会議内での推薦は早くから準備され、内閣府から首相官邸にも8月末には名簿があがっていたはずだ。それを、新組織が発足する直前に抜き打ち的に連絡してくるというのは、多くの分科会を抱え、国際会議も主催すべき学術会議会員の任務の円滑な遂行を妨害することにほかならない。欠員が生じた部会の運営が甚だしく阻害されている」と批判。「学問の自由という観点のみならず、学術会議の担うべき任務について、首相官邸が軽んじた点も問題視している」とコメントした。 ■日本学術会議の会員に任命されなかった6人 ●芦名定道・京都大教授(宗教学) ●宇野重規・東京大教授(政治思想史) ●岡田正則・早稲田大教授(行政法学) ●小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学) ●加藤陽子・東京大教授(日本近代史) ●松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)
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